「私は、あなたの主張に対してアンチ・テーゼを提出しているにすぎません。
ひとつの正義に対して、逆の方角に等量等質の正義が必ず存在するのではないかと私は思っていますので、それを申しあげてみただけのことです」
── 銀河英雄伝説・ヤン・ウェンリー
🔍仏教的視点からの解説
この名言の本質は、「正義は一つではない」という冷静で深い洞察にあります。
これは、仏教でいう「中道(ちゅうどう)」の精神に通じます。
🔸中道とは?
中道とは、「極端に走らず、どちらかに偏らない生き方・考え方」です。
ある人にとっては善でも、別の人にとっては悪に映ることがある。
仏教はそれを「相対の世界」と理解し、
どちらの立場にも“それなりの理由”と“背景”があることを前提に、争わずに調和を目指します。
このヤンの言葉は、「自分の正義に酔わず、他者の正義も尊重する」姿勢。
仏教でいう**「我を離れて、他に耳を傾ける智慧」**そのものです。
🌱仏教からのアドバイス
✅ 「あなたが正しい」と思ったときこそ、立ち止まる
仏教は、正しさの主張にこそ、苦しみが生まれると説きます。
「自分が正しい」→「相手が間違っている」→「争い」
この連鎖を断ち切るには、
正しさではなく“理解”を目指す心が大切です。
💡正義に勝ち負けはない
相手の言い分を否定するのではなく、
「なるほど、それも一理ある」と受け止める柔軟な姿勢が、
人間関係を静かに変えていくのです。