ロバを売りに行く親子のお話。
父と息子が、ロバを売りに市場へ出かけました。
二人でロバを引いていると、それを見た人に、「せっかくロバを連れているのに、乗りもせずに歩いているなんて」と言われたので…息子をロバに乗せました。
今度は別の人に、「若い息子が楽して親を歩かせるなんて。」
と言われたので…父がロバにまたがることにしました。
またしばらくすると別の人に、「自分だけ楽をして子どもを歩かせるとは、悪い親だ。一緒に乗れば。」と言われたので…親子でロバにまたがることにしました。
するとまた別の人に、「二人で乗るなんて、重くてロバがかわいそう。
もっと楽にしてあげてはどうか。」
と言われたので…ロバが楽になるようにと狩りの獲物を運ぶように、一本の棒にロバの両足を括り付けて吊り上げ、それを二人で担いで歩きました。
しかし橋の上まで来たときに、不自然な姿勢を嫌がったロバが暴れだした。
そして、暴れたロバは不運にも川に落ちて死んでしまったとさ…。
この「ロバを売りに行く親子」の話は、仏教的にも非常に深い学びを含んでいます。
この寓話が伝えようとしているのは、まさに**“他人の声に振り回される愚かさ”**です。
🧘♂️仏教的視点からの解説
🔹【仏教の教え】──「八風(はっぷう)に惑わされるな」
仏教には、次のような言葉があります:
「八風(はっぷう)に心を動かされるな」
称賛(しょう)・非難(けん)・得(とく)・損(そん)・快(かい)・苦(く)・栄(えい)・辱(じょく)
人はこの「8つの風(世の中の評価や出来事)」によって、心が揺れ動き、本来の自分を見失うと言われています。
この物語の父子もまさにそう。
出会う人すべての意見に従った結果、自分たちの目的も、本来の判断も、ロバすらも失ってしまいました。
🔸この話が教えてくれること
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人の意見はコロコロ変わる(=無常)
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誰かに合わせることで、誰の満足も得られず、自分も疲弊する
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自分の“判断”を持たない者は、結局、すべてを失う
仏教では、「中道(ちゅうどう)」=自分の内なるバランスを取る道が大切だと説きます。
外に振り回されず、自分の中の静かな“智慧”に従うことが、苦しみを減らす道です。
💡生きるための仏教的アドバイス
「正しい判断は、静かな心から生まれる」
まずは他人の声より、自分の目的と軸を確認しよう。
「すべての人を満足させるのは不可能」
意見は参考にしても、選択は自分の責任で。
「自分を失わずに生きる」ことが、いちばんの慈悲である
🧘♀️締めの言葉(ナレーションにも)
世の中には、いろんな人の意見があります。
でも、それにすべて応えていたら、
自分の人生も、大切なものも、失ってしまいます。仏教は言います。
「自分の道は、自分の智慧で歩け」と。