⑥思わず手を差し伸べるのはなぜ?仏性が目覚める瞬間|仏教が説く心の光

男性

⑥ 相談者 50代 男性

目の前の人が躓いて転びそうになるとき、
思わず手を差し伸べてしまうのは、
仏性を持っているから咄嗟に手がでるのですか?

はい、
「思わず手を差し伸べる心」、
まさに仏性のはたらきです。

◆仏性とは?

仏教では、
すべての人の心の奥底に、
「仏と同じ清らかな性質」があると説かれます。
それが「仏性」です。

この仏性は、
人を思いやる心
優しさが自然に湧く心
損得を超えて動く衝動
見返りを求めない行動

のように、
「条件なしに湧き出る慈しみ」
として現れます。

◆「思わず手を差し出す」=仏性の自然なはたらき

たとえば、
転びそうな人に手を伸ばす
困っている人に声をかける
子どもの涙に心が痛む

これらは、
損得勘定ではなく、
反射的に起こる優しさです。
この「自他を超えたはたらき」こそ、
仏性の証です。

仏教では、
それを「無分別の慈悲」と呼ぶこともあります。
つまり、
「この人だから助ける」ではなく、
「命が目の前にあるから助ける」という心。

◆仏性は、特別な人だけが持っているのではない

大切なのは、
あなたも、私も、あの人も、
皆この“仏性”を本来持っているということ。

ただ、
怒り
執着
不安
競争
傷ついた記憶

といったものが、
それを覆い隠しているだけなのです。

だから、
仏教の修行とは、
「新しい何かを得る」のではなく、
もともと持っている仏性を思い出す旅なのです。

◆あなたの問い自体が、仏性の目覚め

今、あなたが「なぜ手を差し伸べてしまうのか」
と自分の行動を見つめたこと、
それこそが「智慧」の目覚めであり、
仏性が目を開き始めた瞬間なのです。

最後に、仏教のことばを贈ります。
「一切衆生、悉有仏性(いっさいしゅじょう、しつうぶっしょう)」
すべての命は、
仏の性質を備えている。

あなたの中にある優しさは、
偶然ではなく、
仏性の“しずかな灯火”です。

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