「遠くから見れば大抵のものは綺麗に見える。」 ― 村上春樹

失恋

「遠くから見れば大抵のものは綺麗に見える。」
― 村上春樹


🧘‍♂️仏教的視点からの解説とアドバイス:

この言葉は、距離と視点が私たちの「物の見え方」「感じ方」をいかに変えてしまうかを端的に表現しています。
それは、仏教が説く「諸法無我(しょほうむが)=ものごとは固定された実体を持たない」という真理にもつながっています。


🔍 仏教での読み解き:

  • 「遠くから見える美しさ」 → 観念・理想・幻想(=仮の相)

  • 「近づくと見える現実」 → 苦・煩悩・無常の真実

  • → つまり、“美しさ”とは、見方の問題であり、心の投影にすぎない

仏教では、こうした「心の投影」を「妄想(もうぞう)」と呼びます。
人は距離をおいているからこそ、美化し、期待し、恋い焦がれる。
しかし、近づけばそこに「苦しみ」「違和感」「煩悩の現実」が立ち現れる。


🪷 仏教的アドバイス:

  1. “美しさ”は、自分の心がつくり出している
     外のものが綺麗なのではなく、綺麗に“見ている”自分がいる
     その気づきこそが、「正見(しょうけん)」という智慧です。

  2. 距離があるからこそ抱く感情に、執着しすぎない
     憧れ・理想・美化された思い――それらは“縁”が変われば簡単に崩れます。
     だからこそ、「今・ここ」にある現実を、淡々と見つめる目が必要です。

  3. 本当の美しさは、遠くから見た幻想ではなく、“近くにいても大切にできるもの”
     仏教では、“美しいものを見分ける”より、“美しく見る心を育てる”ことが大切とされます。

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