「自分を大事にして、傷つきたくない、そう思うから不安になるんだよ。」
― 岡本太郎
🧘♂️仏教的視点からの解説とアドバイス:
この言葉は、「傷つきたくない」という思いが、かえって心に不安や苦しみを生むという人間の根源的な心理を突いています。
仏教では、まさにこのような状態を「我執(がしゅう)=“自分”という存在に対する過度な執着」と呼びます。
つまり、「自分を守りたい」→「不安になる」→「ますます心が縛られる」
という苦のサイクルに陥ってしまうのです。
🔍 仏教のキーワードで読み解く:
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「自分を大事にしたい」 → 執着(我執)
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「傷つきたくない」 → 恐れ(無明・むみょう=真理を知らぬ心)
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「不安になる」 → 苦(ドゥッカ)の表れ
仏教では、すべての苦しみの根源を「三毒(貪・瞋・癡)」としますが、
この名言が表しているのは、「貪(とん)=守りたい・欲しい」という欲と、
「癡(ち)=真理を知らない無知」によって不安を抱える姿そのものです。
🪷 仏教的アドバイス:
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「傷つかないようにすること」が苦しみの原因になる paradox(逆説)を理解する
守れば守るほど、心は不安になる――
これは「執着」が強くなるほど、自由から遠ざかるという仏教の教えと一致します。 -
「不安」とは“心が未来に囚われている”ことの証
仏教は「今を生きよ(正念)」と説きます。
未来の傷や恐れに心を奪われず、「いまここ」でできることに集中することで、不安はやわらぎます。 -
自分を大事にするとは、“壊れないように守ること”ではなく、“壊れても立ち上がれる心を育てること”
これは「精進(しょうじん)」と呼ばれる仏教の修行――
転んでもまた起きる、そうした心の強さこそが本当の“自愛”です。